過活動膀胱

過活動膀胱とは,尿意切迫感を必須症状とし,通常は夜間頻尿と頻尿を伴う症状症候群と定義されています。尿意切迫感とは,「突然起こる,我慢できないような強い尿意であり通常の尿意との相違の説明が困難なもの」とありますが,その病態生理や発症機序は解明されていません。正常な下部尿路機能(膀胱から下)は,尿を排出する「排尿機能」と尿を膀胱内に貯える「蓄尿機能」から構成されており,排尿機能,蓄尿機能が障害されると問題が起こります。蓄尿症状には,昼間頻尿(昼間の排尿回数が多過ぎるという愁訴),夜間頻尿(排尿のために夜間1回以上の覚醒をしなければならないという愁訴),尿意切迫感,尿失禁(不随意の尿漏れ)がありますが、特に「尿意切迫感(urinary urgency)」を呈する病態を「過活動膀胱」と言います。過活動膀胱と鑑別すべき疾患には,悪性腫瘍(膀胱癌,前立腺癌,その他の骨盤内悪性腫瘍),尿路結石(膀胱結石,尿道結石,下部尿管結石),下部尿路の炎症性疾患(細菌性膀胱炎・尿道炎・前立腺炎,間質性膀胱炎),子宮内膜症などの膀胱周囲の異常,多尿,心因性頻尿,薬剤の副作用などがあり,多彩です。当クリニックでは、自覚症状の問診〔下部尿路症状:蓄尿症状(過活動膀胱症状),排尿症状,排尿後症状〕,過活動膀胱症状スコア(OABSS) ,病歴・既往歴・合併症,服薬歴,水分摂取習慣,身体理学的所見・神経学的所見,検尿等から、適切な治療を行います。